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リモートワークから出社に戻って気づいた5つのこと

出社復帰

フルリモートだった勤務形態が、週3出社のハイブリッドに変わった。最初は抵抗があったけど、半年経って見えてきたことがある。

リモートワーク推進の流れが一段落し、多くの企業が出社回帰に動いている。自分もその波の中にいる一人として、実際に体験して感じたことを正直に書いてみる。

1. 雑談から情報が入ってくる

リモートワークで一番失っていたのは、雑談。Slackのチャンネルでは拾えない情報が、オフィスの雑談から入ってくる。

「あのサービス、来月リプレイスするらしいよ」「このライブラリ、別チームが使ってて良かったって言ってた」。こういう情報は、意図的に共有されない。たまたま隣にいたから聞けた、という類のもの。

リモートだとSlackに書かれた情報しか入ってこない。書かれない情報は存在しないのと同じだった。

特にエンジニアとして痛感したのは、技術的な意思決定の背景情報が雑談の中に埋まっていること。「なぜあの設計にしたのか」「どういう議論があったのか」は、ドキュメントに書かれない場合が多い。出社して隣のチームの会話が耳に入るだけで、プロジェクト全体の解像度が上がった。

逆に言えば、リモートで情報格差が生まれるのは、組織の情報共有の仕組みが雑談に依存しすぎている証拠でもある。本来はドキュメントやオープンなチャンネルで共有されるべき情報が、対面でしか流通していない。これは組織の課題として意識しておきたい。

2. 相談のハードルが下がった

リモートで相談するには、Slackでメッセージを送るか、ミーティングを設定する必要がある。これが意外とハードル高い。

「この質問、わざわざメッセージ送るほどでもないかな」と思って自分で調べ始めて、30分溶かすことがリモートではよくあった。出社していれば「ちょっといいですか」で済む。15秒で終わる確認を、わざわざSlackで文章にする必要がない。

この「ちょっといいですか」の積み重ねが、意思決定の速度に影響している。

ただし、これにはトレードオフがある。相談される側からすると、集中しているときに声をかけられるのは割り込みでしかない。出社日に相談が集中して、自分の作業が全然進まないという日もある。だから「相談しやすい」と「集中を妨げない」のバランスをチーム内で意識的に設計する必要がある。うちのチームでは、午前中はなるべく声をかけない「集中タイム」を設けるようにした。

リモートと出社の比較

3. 通勤時間は「無駄」ではなかった

出社前は通勤時間を無駄だと思っていた。片道45分、往復90分。この時間があれば何ができるか、と。

でも実際に通勤してみると、この時間が仕事と私生活の境界線として機能していることに気づいた。電車の中で仕事モードに切り替わり、帰りの電車でオフモードに戻る。

リモートだと、仕事が終わっても同じ部屋にいる。気持ちの切り替えが難しかった。夜の22時にSlackの通知を見て、つい返信してしまう。仕事部屋が寝室の隣にあると、寝る直前まで仕事のことが頭から離れない。通勤時間は物理的な境界線だった。

通勤時間の使い方も工夫次第で変わる。自分の場合は、行きの電車でPodcastを聴いたり技術記事を読んだり、帰りの電車では何も考えずに音楽を聴いたりしている。リモート時代にはなかった「自分だけの時間」が、通勤の中に生まれた。

もちろん、満員電車で90分立ちっぱなしだったら話は違う。通勤の快適さは路線や時間帯に大きく左右される。これはあくまで自分のケースでの話。

4. 環境の力は大きい

自宅の作業環境はそれなりに整えていた。外部モニター、昇降デスク、良い椅子。でもオフィスの方が集中できることがある。

理由は「周りが働いている」から。自宅だと誘惑が多い。ソファ、テレビ、冷蔵庫。オフィスでは仕事以外のことをする選択肢が物理的に少ない。

環境が行動を規定する。これは意志の強さの問題じゃなく、環境設計の問題。

半年間で気づいたのは、集中のトリガーが場所と紐づいていること。「このデスクに座ったら仕事モード」という条件付けが、自宅だとなかなか確立しない。オフィスに着いた瞬間にスイッチが入る感覚は、場所の力そのもの。

一方で、自宅環境にも良さがある。好きな温度に調整できる、好きな音楽をスピーカーで流せる、コーヒーを自分のタイミングで淹れられる。環境の快適さと集中力は別の軸で、どちらを重視するかはその日のタスクによる。

5. 体力が落ちていた

フルリモートで1日の歩数が2000歩以下だった。出社すると8000歩くらい歩く。最初の1週間は体がきつかった。

通勤、オフィス内の移動、ランチの外出。リモートでは発生しない運動量が、出社すると自然に確保される。

健康面では出社の方がいい。これは認めざるを得ない。

リモート期間中に腰痛がひどくなって整体に通っていたのも、出社を再開してから徐々に改善した。歩くことで血流が良くなり、同じ姿勢でい続けることが減ったからだと思う。リモートの快適さの裏には、身体を動かす機会を自分で作らないといけないというコストがある。意識的にジムに通える人ならいいけど、自分のようにサボりがちな人間には出社による「強制的な運動」が合っていた。

ハイブリッドワークの最適解

リモートの方が良かったこと

出社のメリットを書いたけど、リモートの方が良かったこともある。

集中作業の効率。コードを書く、ドキュメントを書く、調査する。こういう一人で集中する作業は、リモートの方が圧倒的に速い。オフィスだと声をかけられて中断される。エンジニアにとって、コンテキストスイッチのコストは大きい。30分かけて頭に入れた設計の全体像が、一回の割り込みでリセットされる。これが1日に何度も起きると、実質的な作業時間はかなり削られる。

時間の柔軟性。リモートなら、朝の集中できる時間に一気に作業して、午後はゆるくやる、みたいな調整ができた。出社だと9時から18時の枠に縛られる。自分のパフォーマンスが高い時間帯に合わせて働けるのは、リモートの大きなメリットだった。

移動時間ゼロ。往復90分がなくなる価値は大きい。その時間で副業するとか、趣味の時間に充てるとか。週5出社だと月に30時間以上が通勤に消える。この時間をどう使うかで、人生の豊かさが変わる。

生活の自由度。宅配便の受け取り、病院の予約、子どもの送り迎え。リモートなら仕事の合間にこなせることが、出社だとまとまった休みを取る必要がある。地味だけど、生活全体の満足度に大きく影響する部分。

ハイブリッドが現時点の最適解

フルリモートにもフル出社にもメリットとデメリットがある。今のところ、週3出社・週2リモートのハイブリッドが自分にとっての最適解。

出社日はコミュニケーションと相談。リモート日は集中作業。目的で使い分ける。

具体的には、月・水・金を出社日にしている。週の頭に出社してチームと方向性を揃え、火曜はリモートで集中して手を動かし、水曜に出社して中間確認、木曜はまたリモートで集中、金曜に出社して振り返りと翌週の準備。このリズムが今のところうまく回っている。

ただし、最適解は人によって違うし、ライフステージによっても変わる。子育て中の人、介護がある人、通勤に2時間かかる人。同じ「週3出社」でも、負荷はまったく違う。大事なのは、思考停止で「リモートがいい」「出社がいい」と決めつけないこと。自分にとって何が大切で、今の働き方がそれに合っているか、定期的に見直す姿勢が必要だと思う。

働き方に正解はない。でも、自分なりの最適解を探し続けることはできる。

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